101匹わんちゃんに登場するヴィラン、クルエラ・ド・ヴィルの誕生秘話として公開された映画クルエラを、Disney+でやっと観た。(ちなみに吹替)
ちなみに私は101匹わんちゃんは観たことがあるけど、実写版の101(や102)は観てない。
以下、クルエラの感想です。
以下、クルエラおよび101匹わんちゃんのネタバレ含むのでご注意ください。
101匹わんちゃんとのいい距離感
ディズニーの実写化
最近ディズニーはいろいろと名作アニメーションを実写化しまくっているけれど、実はこの流れは私は苦手。
シンデレラや美女と野獣は映画館で観たけど、イマイチ私には刺さらなくて。(好きな人ほんとにごめんなさい!!!!)
衣装とか美術とかいろいろお金かかってるんだろうなっていうのはわかるし、CGの技術も素晴らしいんだけど、これならアニメーション版を推すかなっていうのがどうしても否めず…。
そういう気持ちが少しでも芽生えちゃうと、アニメーションのこのシーンが好きだったのにとか、この表現が好きだったのに、みたいな完全にめんどくさいネガティブな気持ちばかり湧いてしまって…。(ごめんなさい)
その点、前日譚と完全にオリジナルストーリーに割り切ってるクルエラは観やすかった。
前日譚とはいっているけれど
そして、前日譚といっておきながら、101匹わんちゃんにとらわれすぎることなく、面白い映画を撮ってやろうという感じがあったのが好感触。
正直なところ、101匹わんちゃんにつながるとは思えないし、そういう映画じゃないと思う。
敵のペット(ダルメシアン)懐柔して、友人(?)に送ってからその子犬を集めて毛皮のコートを作りたい!ってちょっとわけわかんなすぎるし、ちょっと考えにくいなって。
いやプレゼントしないで自分とこで増やしなよ、、、(発想がサイコパス)
いやそもそも、クルエラの舞台になったのは1970年代だと思うけど、101匹わんちゃんの公開って1961年だし笑
あふれるオマージュ
変に原作を意識しすぎず、単体として単純に面白いところに、101匹わんちゃんへのオマージュがあふれてるっていう感じなのがとても良かった。
ロジャーとアニータは出てくるだけじゃなくて、ダルメシアンを飼っている理由どころか、その犬の名前がポンゴとパディータである理由まで明らかにされるけど、アニメーション版の2人とはちょっと違う気がする。
かと思えば、クルエラの手下(?)のジャスパーとホーレスは人種こそアニメーション版と違うがなんだかわりとそのまんまっぽいし。
だからクルエラとこの2人は何があっても絶対死なないって安心して見られた笑
クルエラの運転がとっても荒いのも相変わらずだし。
相関をたっぷりとにおわせながらも、独立して成立しているところがとても良かったし、だからこそ面白かったんだと思う。
ストーリーについて
上にも書いたように、独立したオリジナルストーリーである。
前半の、何も持たない女性が、紆余曲折ありながらも奮闘し、憧れの世界の権威みたいな人に才能を見出されて、めきめきと力をつけていくサクセスストーリーも、定番の流れとはいえ演出もよく、わくわくする。
そこで実は憧れの人が母を殺した人でした!ということが発覚し、復讐に燃えてクルエラとして目覚め暴れていく。
ファッションでバチバチやり合ってることもあり、画面も華やかで楽しい。
そこでもう一段階、母を殺した人が実の母でした!という展開があって、クルエラとともに観客の私も驚きながらも、ああアレの娘なのか…っていう妙な納得感があったりなかったりして。
そして、最後にけりがついてすっきり。
ストーリーのテンポもいいので134分とディズニー映画にしては比較的長めだけど、ダレずに物語がぐんぐん進んでいく。
ファッション良し
デザイナーの世界が舞台となってることもあり、とにかくオシャレな服がたくさん出てきてテンションが上がる。
なんかこういうところは「プラダを着た悪魔」っぽいな~と思いながら見ていたけれど、今冷静に考えると、アン・ハサウェイとメリル・ストリープ演じる編集長は別にファッションで戦ってはいないし、ファッションのテイストも全然違う。
…という余談はさておき、ファッションの美しさと、背景のロンドンの街並みのバランスも良く、スタイリッシュな絵が物語を紡いでいる。
なんといってもエマ強し
とにかくこの映画はクルエラ演じたエマ・ストーンが素晴らしかった。
顔の演技がすごいというか、表情でそういう性格の人なんだなって伝わるというか。
クルエラとエステラで表情が全然違ってしっかり演じ分けているのに、だからといって二重人格者っぽくも見えない。
だからこそ、クルエラが復讐に狂っていくのもあっぱれだし、最後のエステラの葬式シーンも印象的。
そしてなんといってもチャーミング。
クルエラとして降臨するときのカッコよさたるや。
オシャレで強いクルエラの衣装に負けないどころか、彼女の力によって衣装の魅力をさらに引き上げているので、よりファッショナブルに見える。
バロネス*1演じたもう一人のエマ(エマ・トンプソン)のこいつサイテーと思わずにはいられない好演もさらに映画の魅力を3段階ぐらい引き上げている。
さいごに
エマ・ストーンの好演が輝き、ストーリーのテンポも良く、101匹わんちゃんのオマージュにはあふれながらもそこまでとらわれずに面白い作品に仕上がっていてとても良かった。
101匹わんちゃん観たことある人もない人も、
101匹わんちゃん観てからクルエラを観ても、クルエラを観てから101匹わんちゃんを観ても
みんな楽しめるんじゃないかなと思える良い作品。
ラーヤといい上映される映画館が少ないのが嘆かわしい…。
おまけ・キャサリンの死について
最初のお母さんが死ぬシーンが、その死に方はないだろって少し笑ってしまった。
なんていうか無理やり感が否めなくて、物語の序盤にさっさといなく孤児設定にしたかったのかな?と思ったりしたんだけど、意外と物語に重要な鍵となるシーンだったね。
そういえば崖から落ちるっていう死に方はディズニーでは定番。
刺したり殴ったりして殺すのは絵が怖い+転落なら遺体を見せなくてもなんか死んだなって判断できるからっていう事情かなと察しているんだけど。
転落死するのはだいたい悪役(例:白雪姫の魔女、ガストン)だけど本作では善人っぽい人(キャサリン、エステラ)なのは対比なのかもしれないなあと思ったり思わなかったり。
*1:名前のようにバロネスと呼んでいたけれど、男爵夫人(baroness)ってことだよね?