ちょっと公開から間が空いたけれど、Disney100の記念作品の「ウィッシュ(原題:wish)」を観てきた。
ここから先ネタバレを含むためご注意ください。
作品概要
あらすじ
ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念するアニメーション映画最新作。
2023年、ウォルト・ディズニー・カンパニーが創立100周年を迎え、その記念作となるアニメーション最新作が『アナと雪の女王』のスタッフ陣が贈る、ディズニー100年の歴史の集大成となる新たなドラマティック・ミュージカル『ウィッシュ』。本作は、長きにわたりディズニー作品が描き続けてきた“願いの力”を真正面からテーマとして描く、100年の歴史の集大成とも言うべき作品である。これまでディズニー作品の主人公たちは強く願う力で道を切り開いてきたが、本作はそんなどの作品の世界より前から存在するファンタジーの世界、どんな“願い”も叶うと言われている “ロサス王国”を舞台にした物語。
100年のすべてが、この物語に―みんなの心が熱くなる、魔法のミュージカル体験!
願いが叶う魔法の王国に暮らす少女アーシャの願いは、100歳になる祖父の願いが叶うこと。だが、すべての“願い”は魔法を操る王様に支配されているという衝撃の真実を彼女は知ってしまう。みんなの願いを取り戻したいという、ひたむきな思いに応えたのは、“願い星”のスター。空から舞い降りたスターと、相棒である子ヤギのバレンティノと共に、アーシャは立ち上がる。「願いが、私を強くする」──願い星に選ばれた少女アーシャが、王国に巻き起こす奇跡とは…?
ヒロイン・アーシャの声優は『ウエスト・サイド・ストーリー』で第94回アカデミー賞助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズ。60回グラミー賞主要2部門にノミネートし、ジャスティン・ビーバー、エド・シーランら有名アーティストへの楽曲提供をするなど、世界的ヒット・ソング・ライター兼アーティストとして活躍しているジュリア・マイケルズが、音楽を担当。ディズニー100周年の集大成であり、更なる新境地となる名作にふさわしいスタッフ・キャスト陣が手掛ける本作から目が離せない。
声の出演
字幕版は上映回数が少なく、上手くタイミングが合わず、吹き替え版で観た。
主な日本語版キャストはこんなかんじ。
アーシャ:生田絵梨花
マグニフィコ王:福山雅治
バレンティノ:山寺宏一
アマヤ王妃:檀れい
サビーノ:鹿賀丈史
ちなみに本国版の声優は以下の通り。
アーシャ:アリアナ・デボーズ
マグニフィコ王:クリス・パイン
バレンティノ:アラン・テュディック
ド真ん中にWish(願い)を扱った作品
Wish(願い)はディズニー作品の普遍的なテーマである。
ディズニー映画が始まる前に流れるのはシンデレラ城バックに"When you wish upon a star"だし、数々のディズニーキャラクターたちが願い、そして夢をかなえてきた。
とはいえ、ここまでドストレートにwishをテーマのど真ん中に据えた作品もない。
願いが叶う魔法の王国を治める魔法使いが人々のWishそのものを取り出すことで、Wishは可視化され、そしてそのWishを本人から引きはがすことで支配を強めている。
願いを叶えるために奮闘するヒーロー・ヒロインはたくさん見られるけれど、願いを持てることそのものを取り戻すために奮闘するヒロインは新しくもあり、とはいえどこか観たことあるような気すらさせるところもあり、100年の積み重ねの先のヒロインだった。
王道をいく
本作を一言で表すならとにかくベタである。
正義感あふれるヒロインが、悪に立ち向かい仲間の協力も得て戦う。最後は民衆も一体となって願いを携えて立ち向かう。
イジワルな言い方をすればひねりはないが、ゆえに1作品としてはしっかりまとめてきているなあという印象。
そして過去作品のオマージュというか、ディズニーがこれまで培ってきた「ディズニー」らしさもちりばめられている。
ミュージカルシーン
ディズニーといえば音楽!という人もいるくらい、ディズニー映画とミュージカルシーンは切り離せないものになっている。
世界初のトーキーアニメーション映画を作ったのはディズニーだし。
ウィッシュの中で歌詞がついている曲は6+1曲
- Welcome To Rosas
- At All Costs
- This Wish
- I'm A Star
- This is The Thanks I Get?!
- Knowing What I Know Now
- This Wish(Reprise)
Welcome To Rosasはミラベルと魔法だらけの家のThe Family Madrigalを彷彿させるオープニングソング。
「『ようこそ!ロサス王国へ』は映画で最初に耳にする楽曲です。『アナと雪の女王』(『生まれてはじめて』)や『ミラベルと魔法だらけの家』(『ふしぎなマドリガル家』)のようなディズニーのウェルカム・ソングはずっと私のお気に入りでした。自分の居場所や自分がどこへ向かっていこうかよくわかる楽曲です。」と本作の音楽制作を担当しているジュリア・マイケルズが楽曲について語りました。
<Wish Wednesdays>第3弾シングルUS版「ようこそ!ロサス王国へ」Performed by アリアナ・デボーズ&キャスト配信開始!
At All Costsは主な登場人物2人のこの先の物語を想うと少し哀しいデュエットで、This WishはいわゆるI Wish Song
I'm A Starは動物たちが歌い踊る曲で、過去のディズニーアニメーションの吹き替え声優大集合でお祭りでもある。
This is The Thanks I Get?!はいわゆるディズニーのメインソング。福山雅治氏初挑戦で難しかった!とのラップもありノリノリで楽しい曲。
Knowing What I Know Nowは立ち上がる仲間たちの鼓舞する歌。
そしてThis Wishのリプライズは信じるものたちの心合わせた群衆の歌。
ディズニーのお約束を守ったようなミュージカルシーンは物語を動かす力も抜群で、ああディズニー映画観たなあという気持ちになる。
ディズニー・ヴィランズ
ここ最近のディズニー作品は、アナと雪の女王しかり*1、ズートピアしかり、ヴィランズとして登場せず、この人が!?というヴィランズが多かった。ラーヤと龍の王国やミラベルと魔法だらけの家にいたっては明確なディズニー・ヴィランズはいなかったような…。
本作のヴィランズマグニフィコ王は最初こそ夢をかなえる魔法使い、立派な統治者という形で登場するものの、かなり序盤のほうでおやおやという発言をして、わりと早々にヴィランズとしての顔を見せる。なんなら広告の段階でヴィランズとして登場していたし。
マグニフィコ王は、悪意がはっきりとあるわけではなく根っからの悪キャラとかではなさそうだけど、かといって承認欲や支配欲はしっかり感じさせるという、ある意味伝統的なディズニー・ヴィランズらしい造形。
こういうヴィランズ久しぶりな気がする(※あくまで体感的に気がするだけ)
さいごに
Diseney100を銘打っているだけあり、これまでのディズニーの積み重ねをキュッとシンプルにまとめたような作品になっていた。「願い」そのものは、生きていくうえで普遍的で多くの人に必要なものでじんわりと心に響いてくる。
*1:最近といっても10年前とかだが