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【巣ごもりシアター トゥーランドット 感想】初めてのオペラ(配信だけど)

お題「#おうち時間

先週、オペラ座の怪人の25周年記念公演が無料公開されたから観てふとおもった。
今日(こんにち)の日本でもオペラって上演しているんだろうか。
素人なんですオペラファンの皆さん本当にごめんなさい

ミュージカルは日本で人気な役者さんも何人か知っているし、片手で数えられるくらいだけれども劇場に観に行ったことがある。
そして古典で言えばバレエの全幕は映像どころか生でちゃんと見たこともある。
けれど、オペラは知ってる曲は多数あってもちゃんと全幕通してみたことがない。

そう思って調べたら、当たり前のようにやってるし、
なんと新国立劇場新型コロナウイルス流行抑制のための引きこもりのために無料公開してくれているじゃないか。

www.nntt.jac.go.jp

たまたまこのページを開いた時はトゥーランドットだった。

こうして私の初めてのオペラ鑑賞は巣ごもりシアターのトゥーランドットになった。

私の前提知識

荒川静香さんがトリノオリンピックで金メダルを獲った時の曲でも有名だし、自分も一部とは言え演奏したこともある。
誰も寝てはならぬとかあまりにも有名すぎる。
そのため知ってる曲だけはもともと多い。

あとかろうじてあらすじぐらいは知っている。

中国の美しいお姫様トゥーランドットは結婚の条件として「3つの謎に正解すること。間違えたならば死刑」を要求する。
あまたの王子が謎ときに失敗し処刑され、今晩もひとり広場で処刑される裏で、どこかの国のカラフ王子は父とかつての女召使と再会する。
カラフ王子は処刑を見に来たトゥーランドットに一目ぼれしてしまい、周りの人が引き留めるのも聞かず、謎ときに挑む。
カラフ王子はなんと問題に完全正解してしまうが、姫はそれでも結婚を拒む。
そこで王子は夜が明けるまでに自分の名前を当てることが出来たら結婚せずに処刑されましょうと申し出る。
姫は住民に眠ることを禁じ名前を解き明かせと命じ、名前を知ってそうな人としてかつての女召使が捕らえられる。
女召使はカラフ王子を愛していたので名前を答えず、拷問に耐え、しまいには死ぬ。
女召使の検診に心を打たれたこともあり、姫はカラフ王子を愛するようになり、彼から名前を聞いたのにもかかわらず民衆の前で「彼の名前は…愛です…!」と宣言しHappy END

とまあざっくりした前提知識だが、ありがたいことにこの映像には日本語字幕がついていた。

これは結構重要ポイントで、こどもならともかく年齢を重ねると話のストーリーがちんぷんかんぷんなのは結構苦痛なのだ。
小さい頃は英語+字幕なしでディズニーとかさんざん見てたし、何なら日本語すらわからない頃からディズニー映画見てたはずなんだけどなあ…。

というわけでオペラ鑑賞は初めてだったけれども、知ってる音楽+日本語字幕で無敵だった。ありがとう新国立劇場…。

プッチーニの超名曲

にしてもプッチーニの楽曲はいい意味で仰々しすぎるし、舞台に合う。

シンプルに演奏会などで聴くなら仰々しすぎも胃にもたれるのだけれども、舞台がつくとかえって仰々しすぎるぐらいがむしろ良い。 プッチーニのオペラの数々をはじめ、チャイコフスキーバレエ音楽プロコフィエフバレエ音楽オペラ座の怪人エリザベート…などなど優れた舞台の音楽ってみんな仰々しい。

誰も寝てはならぬ」はあまりにも有名すぎるし、リューのアリアの「氷のような姫君の心も」の美しい旋律も胸を打つ。

アリア以外でも東洋的なオリエンタルさと、がちがちゴリゴリの西洋音楽のバランスが私の好みでもある。

オペラってすごいねえ

まず圧巻されたのが舞台上にいる人数。
舞台に人がめっっっっっっちゃいる!
当たり前のように生オケだし、いったい何人の人がこの舞台に関わってるんだろう…?

そして独特の歌い方。
マイクのない時代が編み出した技術。

そして全員歌がべらぼうに難しそう!

特にトゥーランドット様、ここが見せ場です!っていうのはないんだけど、ただただパワー張り倒し系である。
ゆえに華奢なかわいい王女様とはいいがたい、たくましそうなパワー系女性である。

舞台のおもしろいところは、演技力(歌唱力含む)によって容姿まで変わったように見えるところ。
3,40代の役者が10代の役を演じたり、逆に老人の役も演じることが出来るところ。これは映像だとなかなか難しいのよね。
だからこそ2幕までは姫のアップはもはやいらなかったかなとすら思ってる。

最後まで見て気づいた

ここからはネタバレ(というか演出の種明かし)を含むので、これから見ようと思ってる方がいたらご注意ください








オペラってすごいねえ(小学生レベルの感想)って思いながらもちょっとした違和感は感じていた。

いやそもそもこのピンポンパンってこんなのんだっくれの酔っ払いおじさんsだったっけ?

そして1・2幕では白い衣装を着ていたトゥーランドット姫は3幕(王子の名前探し以降)から同じデザインの黒い衣装をまとうのである。
喪服か…?

そしてリュー(女召使)が主人であるカラフ王子を守るために拷問に耐え終いに自殺してしまうが、当のカラフ王子は大して悲しみもせず、トゥーランドットを「お前のせいで死んだ」とちょっと詰り、そのあと口説き続ける。サイコパスか…?

しかもリューが死んでも、ラスト20分切っても、トゥーランドットガチで嫌がってんじゃん…。
こんなんいやよいやよも好きのうちとかに入んないよ、これどうやってまとめるの…?とおもったら突然姫が坊主になるし(なんでや!)

キスだって、凍ったお姫様の心を溶かす王子様のチュー♡なんて生易しいものじゃなくて服(ちょっと)脱がせてて、レイプか…?

それでも最後はトゥーランドットが「名前は愛」と叫び、カラフ王子の手を取るも、リューと同じように自殺。

え。

最後の最後にやっと気づいたけれども、これかなり癖のある演出なんだね…?

引きこもりをきっかけに裾野広げる的なsomethingだと思ってみてたんだけど、これ一発目に見るべき演出ではないんだろう。

曲と歌詞を一切変えずに、演出だけで、これまで「愛」というオブラートに包んでなあなあにしていたところを引きずり下ろしたような作品になっていたんだ。

だから、カラフ王子があまりにもリューの死に対してあっさりしていたのも、どうしてそんなに姫に熱をあげているのかよくわからないのも、ちょっとサイコっぽさがあるのも、キスシーンが暴力的なのも全部わざとなんだろう。
「彼の名は愛です…!」の直前まで本気で抵抗しているのも、王子の愛とやらの暴力性をより強調しているのだろう。

トゥーランドットの衣装一つとっても、2幕の終わりまでは白いけれど、謎を解かれてからは黒がメインの衣装になっている。
それは彼女の敗北=死を表しているのだと思うし、無理にキスされた後みれる下の衣装は真っ黒でもはや喪服のようで。
そして頭飾りを外したあと尼僧のようなのも意味深だよね…。

正直、初見には向いていなかった。
2回目以降に出会いたかったな。

なんかすごいものを見せてもらったし、やっぱりいくらかは寄附しないといけないね…。