世界中で愛されているミュージカル作品「ウィキッド」がついに映画化された。
日本でも劇団四季が上演していて親しまれている作品で、本国アメリカでの公開から遅れること約3か月半、日本のスクリーンにもついにやってきた。
まずはさっそく字幕版で観てきたので感想を。
待望の映画化
Wicked(邦題:ウィキッド、USJ版はウィケッド)はブロードウェイ発で世界中で大ヒットしたミュージカル作品である。
アメリカでは広く親しまれているライマン・フランク・ボームの児童文学の「オズの魔法使い」と、1939年の映画版を基にして書かれた、グレゴリー・マグワイアの小説、Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West(1995年)が原作だ。
このミュージカルを映画化するという構想は10年以上前からあり、たくさんのファンが期待をしていた。
数度の公開延期を経て、その間に2部作で製作されることが決まり、やっとPart 1が2024年11月に公開された。
そして日本でも2025年3月7日に公開された。
映画化の構想や延期のニュースが入っていた頃は、私は舞台版をまだ観たことがなくファンの期待の大きさやがっかりが分からなかったが、待たされている間に劇団四季の再演が決まり、初めて観たのが2023年秋のこと。
劇団四季の初見時の感想はこちら。
初めて観て、そのまま夢中になって、大好きな作品の一つになった。
おとぎ話の先で考えさせられるストーリーも、パワフルで豊かでそして繊細な音楽も、悩みながらしかし前に進む力を持ったキャラクターたちもすべて大好きだ。
そして映画化を首を長くして待つ人々のひとりになった。
世界での公開からさらに待たされること数か月、やっと日本にもやってきた。
映画公開の販促もあり、新作グッズが登場し、さまざまなコラボレーション企画が発表されて、街にはたくさんの広告が流れて、ほんとうに嬉し楽しい。
ここから先はネタバレご注意
作品概要
ストーリー
魔法と幻想の国オズにある<シズ大学>で出会ったふたり― 誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバと、誰よりも愛され特別であることを望むみんなの人気者グリンダは、大学の寮で偶然ルームメイトに。見た目も性格も、そして魔法の才能もまるで異なるふたりは反発し合うが、互いの本当の姿を知っていくにつれかけがえのない友情を築いていく。 ある日、誰もが憧れる偉大なオズの魔法使いに特別な力を見出されたエルファバは、グリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立ち、そこでオズに隠され続けていた“ある秘密”を知る。それは、世界を、そしてふたりの運命を永遠に変えてしまうものだった…。
映画化は2部作となっており、本作は舞台版の1幕に当たる。
キャスト
主なキャストを簡単に。敬称は省略。
- エルファバ・スロップ:シンシア・エリヴォ
- グリンダ・アップランド:アリアナ・グランデ*1
- フィエロ:ジョナサン・ベイリー
- ボック:イーサン・スレイター
- ファニー:ボーウェン・ヤン
- ディラモンド教授:ピーター・ディンクレイジ
- マダム・モリブル:ミシェル・ヨー
- オズの魔法使い:ジェフ・ゴールドブラム
まだ見られてないが、吹き替え版はこちら。
- エルファバ・スロップ:高畑充希
- グリンダ・アップランド:清水美依紗
- フィエロ:海宝直人
- ボック:入野自由
- ファニー:kemio
- ディラモンド教授:山寺宏一
- マダム・モリブル: 塩田朋子
- オズの魔法使い: 大塚芳忠
舞台からスクリーンへ
舞台を観るときはずっと同じ場所に座り同じ舞台を眺めているのにも関わらず、あらゆる場所・様々な角度で体験しているように感じられるのに、映像になると私たちは途端に想像力が狭まってしまう。
映像技術の進化は人間の想像力を少し奪ってしまったかもしれないぐらい、現実にはあり得ないようなCGも活用した映像に慣れてしまった。
映画Wickedの映像は舞台の情報からさらに美しく補完されていて、映像を観るときには発揮しにくい想像力を使わなくても楽しめる。
シズ大学のキャンパスに教室、グリンダとエルフィーの部屋、森、そしてエメラルドシティーが、凡人が想像していたよりもさらに華やかに鮮やかにスクリーンいっぱいに広がる。
尺が伸びた功績
劇団四季のウィキッドは約3時間(2幕構成/休憩20分含む)だが、本作は1幕相当で2時間40分だから尺も伸びた。
尺が伸びた。
つまり舞台版をそっくりそのままの脚本で映画にしたというわけではない。
変更点は、映画として自然な物語展開になるように、そして先の展開の伏線になるような追加と、権利上の制約でできるようになった1939年の映画「オズの魔法使い」の要素の取り込みだ。
楽曲の大きな変更点は、アレンジを除けばOne Short Dayの一部のWizomaniaのシーンで新たにメロディが書き下ろされたところだ。
エメラルド・シティで上演されている劇中劇(とその楽曲)でオズの魔法使いに謁見するためにエメラルド・シティに訪れたエルファバとグリンダが観たショーの場面に、オズの王国や魔法使い、そして魔法の本グリムリーの説明が加わった。
舞台では、ふたりが憧れのエメラルド・シティにやってきて、華やかな都会に目を奪われるときめきを表現する必要があるこのシーンで、設定の説明をガッツリ入れるとクドさがでてきてしまうと想像できる。
一方で映画では演出が良かったのもあり、説明くさくて気になるということはなかったし、その後の絶望も理解しやすくなった。
このシーンにカメオ出演が多くわかるファンが嬉しいことを差し引いても、映画だからこそのアレンジと演出で、きちんとオズの魔法使いをあまり知らない人向けに説明できるという作りになっていた。
映画だからこそ
そういえばグリムリーもコンパクトに折りたためるようになっていて、デカポシェットが無くても携帯できるようになってた。
舞台で演じる小道具であるのなら、重厚感のある本であるとわかる必要があるので、それなりのサイズが必要であり携帯性は捨てざるを得ない。
一方で、映画であればカメラを寄せて大きく写せば、さほど大きくなくとも本であることはすぐわかる。
魔法(という名のCGはじめとする特殊効果)で折りたためて勝手に開くなんてとっても魔法の本っぽいじゃないか。
このような映画だからこその演出や表現の変更は他にも入っていて、しかもセンスが良い。
だから、舞台を映像化しましたという仕上がりではなく、ちゃんと映像作品として見易いし楽しめる。
なお、映画化にあたっての変更点はこちらの記事に詳しい。
(※英語記事である。)
舞台版から引き継いだ魅力
ここまで変わったところの説明ばかりしてきたが、大事な根幹は舞台版そのままだ。
おとぎ話の世界で悪とは何か?を考えさせられるストーリー、パワフルと繊細さを兼ね備える音楽、エルファバとグリンダをはじめとする悩みながらもまっすぐ生きるチャーミングなキャラクターたち…
魅力的な舞台版をそのまま映画として持ってきている。
元々が良いからもちろん映画版も最高である。
音楽もあいかわらず最高で、観る前も観た後もずっとサントラを聴いている。
エルファバとグリンダの声の相性の良さがたまらない。
アリアナも歌い方を変えていてもうグリンダそのものだ。
さいごに
舞台版の面白さ、素敵なところはそのままに、映像で動きが増えて鮮やかな世界が広がる。
大好きなミュージカルが最高の映画になった。こんなにうれしいことはない。 Part 2が公開されるまでのIntermission*2が長すぎて今からほんとうに待ちきれない。
まあPart 2のまえにPart 1のおかわりかな?