先日、シアターオーブで上演しているミュージカル「メリー・ポピンズ」を観たのをきっかけに、そういえばリターンズをまだ観られていなかったことを思い出したので、さっそくDisney+で観てみた。
シアターオーブのほうでやっているミュージカルの感想は別記事に譲るとして、今記事では「メリー・ポピンズ リターンズ」の感想を。
ここから先は思いっきりネタバレを含むのでご注意ください。
(リターンズに限らず前作である1964年のミュージカル映画「メリー・ポピンズ」のネタバレも含みます)
今の技術で帰ってきたメリーとその魔法
舞台は世界恐慌の時代のイギリス。
妻を1年前に亡くし、借金を抱え家が差し押さえられそうになっているマイケルが家族(3人の子供と姉のジェーン)と頑張らなくては、というところにメリーポピンズがやってくる、というお話。
まあお話はさておき、なんといっても胸躍る魔法の数々と歌って踊るミュージカルシーンが魅力的。
魔法は前作ではどこかぎこちなかった部分もあったけれど(だがしかしそこがよかった)、50年の時を経て当たり前のように技術がアップしてナチュラルになっている。
そして雑なCGに頼らずしっかりお金かけてるから安っぽさもない。さすがディズニー。
前作のバートの絵の中に入るシーンに相当する、実写とアニメーションが融合した壺の絵の中にはいるシーン
動物がしゃべるわ、メリーとジャック(前作のバートに相当)が歌って踊るわ最高なんだけど、そもそもディズニーの2Dスタイルのアニメーションは久しぶりでそこも激アツポイント。
このシーンの衣装がどこか平面的なのもすごく好き。
色味はだいぶ異なるけれど、舞浜トゥーンタウンのキャストのリニューアル後のコスチュームのような感じ。
そして魔法シーンから帰ってきた後、夢なのかな?と思うけれど、夢じゃなかったという痕跡がちょっと残るところもニクいなあ。
前作からの粋な引用・オマージュ
「リターンズ」というだけあって、前作あってこそのリターンズ。
各シーンが前作のこのシーンに対応してるな?って思ってしまうレベル。
前作からのオマージュや引用などに溢れていて、前作を知っているからこそ楽しめるポイントが結構あった。
音楽面
メリー・ポピンズといえば魅力的な音楽とミュージカルシーンなわけだけれど、
チムチムチェリーやお砂糖ひとさじで、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスといった名曲の数々がカバーされることはないものの、ところどころセリフの後ろで前作の音楽が利用されている。
前作でどんな音楽がどの場面で使われてたかわかっている人にはニクい演出。
スター・ウォーズなんかでもおなじみの手法だけど、視覚だけじゃなくて聴覚に訴えてきて気持ちがすっと入ってきやすくて良い。
なんといってもラスト
オマージュの最高潮は最後の銀行に駆け込んだ後のシーン
良くも悪くもストーリーとしては無理があるけれど、前作ファンには嬉しいポイントがいっぱい。
前作でバートだけでなくミスター・ドース・シニアを演じていたディック・ヴァン・ダイクが、ミスター・ドース・ジュニアとして、父親そっくりの姿で登場する。
御年92歳とはおもえない軽やかな足取り。そして圧倒的なスターのオーラ
エミリーは「ディックさん自身の存在自体がまさにユニコーンのように摩訶不思議な感じだった。誰よりも元気はつらつで生命力にあふれているし、とてもユーモアがあるの。人は毎日希望を持って生きていくべきだという、『メリー・ポピンズ』の魂を象徴しているような方」と、レジェンドの印象を語る。
エミリー・ブラントが明かす、メリー・ポピンズ役の重責と92歳のレジェンドとの共演秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
そして家族を救うのが、かつてマイケルが父を励まそうと渡した2ペンス。
2ペンスを25年運用したところで、生活を立て直せるほどのまとまったお金になるとは到底思えないし、あの2ペンスはたしか凧の材料を買うときに使ったんじゃなかったっけ?とも思うけれど、
前作でキーとなった2ペンスがこういう形で最後のどんでん返しで活きてくるのはずるい。
正直この展開になるまで、舞台設定を25年後のロンドンにして、ジェーンマイケルのもとにメリー・ポピンズがやってくる物語にせず、ロンドンとは異なる場所・前作とは縁のない家族のもとに来ても良かったと思っていた。
この2ペンスを活かすための舞台設定だと思うと納得。
役者さんたちについて
最後に触れておきたいのが、俳優陣。
前作の、ミュージカル女優(メリー・ポピンズ役のジュリー・アンドリュース)×マルチに活躍するコメディアン?(バート役のディック・ヴァン・ダイク)という布陣に対して、
今回はメリー・ポピンズ役のエミリー・ブラントをはじめとして、主に映画で大活躍している俳優さんがメイン。
メリル・ストリープも登場し、プラダを着た悪魔を思い出してクスっとくる人も多そう。
ミュージカル役者と映像の役者さんは、どこか空間の使い方というかスター性の輝かせ方が異なって、面白いというか、なかなか興味深いなあ。
余談だけれど、ジャック役のリン=マニュエル・ミランダは、モアナやミラベルの劇中歌の作曲もした才能豊かな方。
かなりディズニーとは縁の深い方になりつつあり、今後の活躍も期待。
さいごに
なんとなく観ていなかったけど、ちょっとしたきっかけで観られてよかった。
昔のディズニー映画はけっこう観てるけれど、新しい作品はそのときに映画館に足を運んでいないとそのまま見逃しがちなのでこれからもちょっとずついろんな映画を観ていきたい。