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【キンキーブーツ 感想】エンターテイメントってサイコー

シアターオーブでやってたキンキーブーツ観に行ってきた。

www.kinkyboots.jp

初演も再演も見てなくて、今回の再々演が初めて。(ついでに言うと映画も観てない)
当日パンフレット買ってから、慌てて誰が出るか確認するレベルのほぼ無予習で行った。

観終えた感想を一言で言ってしまうと、とにかくエンタメってサイコ―!!!って気持ち。

以下、しっかりネタバレ含むのでご注意ください

あらすじ・ストーリー

公式サイト記載のストーリーはこんなかんじ。

イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗の靴工場「プライス&サン」の次期社長として産まれたチャーリー・プライス(小池徹平)。彼は父親の意向に反してフィアンセのニコラ(玉置成実)とともにロンドンで生活する道を選ぶが、その矢先父親が急死、工場を継ぐことになってしまう。 工場を継いだチャーリーは、実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならず、途方に暮れる。従業員のひとり、ローレン(ソニン)に倒産を待つだけでなく、新しい市場を開発するべきだとハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラ(城田優)にヒントを得て、危険でセクシーなドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”をつくる決意をする。チャーリーはローラを靴工場の専属デザイナーに迎え、ふたりは試作を重ねる。型破りなローラと保守的な田舎の靴工場の従業員たちとの軋轢の中、チャーリーはミラノの見本市にキンキーブーツを出して工場の命運を賭けることを決意するが…!
ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」公式サイト

パンフレットに載っているストーリーはさらにめちゃめちゃ詳しくて、1幕に至ってはほぼ全部書いてある笑

ざっくり言ってしまえば、思いがけず親の事業を引き継ぎ経営難に陥っている主人公が、性格もバックグラウンドも異なるバディと心を通わせ、旧知の仲間(仲間というより従業員だが)も巻き込んで新しいチャレンジに取り組んでいき、山あり谷ありだけど最後には成し遂げる王道ストーリー。

そこにバディがドラァグクイーンであることから、ダイバーシティ(多様性)やインクリュージョン(受容)、クィアといったテーマも絡まっていく。

キャスト

主なキャストはこんなかんじ。
チャーリー・プライス:小池徹平さん
ローラ:城田優さん
ローレン:ソニンさん
ニコラ:玉置成美さん
ドン:勝矢さん
ジョージ:ひのあらたさん

簡単にメインキャストおふたりの感想を。

チャーリー・プライス:小池徹平さん

小池徹平さんはテレビなどで以前から大活躍なのでもちろん存じ上げてはいたんだけれど、あまり意識して演技とか観たことがなく、演技お上手なの全然知らなかった。

2幕の周りに八つ当たりというかよく泣い流れになってしまう残念シーンで捲し上げていくところとか見ててこっちがぎゅってなってしまうところが本当にしんどくて、
とにかくチャーリーの弱さ危うさへの理解度というか解像度が高くて怖いぐらいだった。

歌うと"小池徹平"に戻ってしまうところだけがとにかく惜しい。
それはそれでアイドルみたいで楽しかったけどね。

ローラ:城田優さん

パンフレットによると、演出家のジェリー・ミッチェルが過去のインタビューでローラはドラァグクイーンであるという以外は性自認性的指向は演じる俳優の個性に合わせて自由にしていると答えているらしい。

城田優さんはいわゆるテンプレな"ドラァグクイーン"で仕上げてきた。
私はドラァグクイーンについては本物の方とかはあまり存じ上げておらず、創作の世界でしか知らないんだけど、まさにその創作のドラァグクイーン!!!!って感じ。

ドラァグクイーンとしての城田ローラはとにかく華が凄く真ん中の説得力がものすごくある。
一方でサイモンとして男性装をしているときの内面の弱さ脆さ孤独感のにじむ演技も魅力的で。

華やかさや身長を含めた体格の良さなどの生まれ持ったものと、ミックスというマイノリティとして日本で育って感じてきたことやこれまでのミュージカル経験など彼が今まで積み重ねてきたものがローラという役にぶつけられているところが魅力的にしている。

エンターテイメントとカタルシス

多様性やありのままを受け入れるといったことが描かれている本作品

とはいえ、2012年に初演されてから10年、元となった映画が公開された2005年からは17年、
ダイバーシティやインクリュージョンという言葉の社会への浸透度も大きく変わって、当時とは全く状況も違うし、その後これらのテーマを扱った素晴らしい作品がぼこぼこうまれている。
労働者を描いた作品でもあるけれど、この10年で労働環境に対する考え方もかなり変わった。
正直、社会の変化に追いつききれていなさも感じるのも事実。

ところが、ショータイムとして楽しすぎて脳みそが溶けていくような、汁が出ていくような、浮揚感で満たされていくような感覚がクセになる。

ローラがエンジェルスを引き連れて歌う時のキタキタ感、

Hold Me in Your Heart

Hold Me in Your Heart

Sex Is in the Heel

Sex Is in the Heel

  • Chloe Hart, Killian Donnelly, Matt Henry, Michael Hobbs & Original West End Cast of Kinky Boots Ensemble
  • サウンドトラック
  • ¥255

工場の従業員たちも巻き込み、工場すらもステージになるシーン、

Everybody Say Yeah

Everybody Say Yeah

  • ビリー・ポーター & Stark Sands
  • サウンドトラック
  • ¥255

なんといってもラストのショータイム

Raise You Up / Just Be

Raise You Up / Just Be

音楽も良ければ、ローラやエンジェルスたちドラァグクイーンの鍛え抜かれた身体×華やかな衣装の美ししさ、縦横無尽で動きのある演出すべてが、観るものをとにかく気持ちを上へと飛ばしてくれる。

結局、ミラノの見本市でキンキーブーツが評価されたかは全く描かれないけれどそんなのどうでもいいと思わせるパワー。
むしろ結果発表があったら良い結果でもビミョーな結果でも興ざめしそう。

この高揚感をなんといえばいいかがわからない。カタルシス?絶頂?
(言葉の解像度が低くて思いついた言葉はどれもイマイチハマりきってない。)

さいごに

いろいろ考えるポイントがありつつも、サイコーのショータイムでいろんなものが吹っ飛ぶ感覚がクセになるたまらないエンターテイメントだった。

エンターテイメントってこうじゃなくっちゃねって思うんだけど、脳みそ吹っ飛ぶ楽しさっていうのは意外となかなか味わえないものなので。