タイトルにも書いたように、先日、ディズニー・ショート・フィルムコレクションを見た。
ディズニーの比較的新しい短編作品だけを集めたDVD(またはBlu-ray)である。
ずっと観たいと思っていて、TSUTAYAで借りてくるか、買っちゃうか迷っていたところだった。
たまたまU-NEXTで"ディズニー"で検索したら、持っていた無料ポイントで借りられるみたいだったので観た。
1作品ずつ順番に感想を。
見たことがない人のために、あらすじも書こうと思ったんだけど、とても陳腐な感じになったので消してしまった。
ぜひ本編を見て!!!!!!(説明放棄)
- ジョン・ヘンリー
- ロレンゾ
- マッチ売りの少女
- グーフィーのホームシアター
- 小さな時計
- ウェイン&ラニー クリスマスを守れ!/秘密の指令
- ネッシーのなみだ
- ラプンツェルのウェディング
- 紙ひこうき
- ミッキーのミニー救出大作戦
- 愛犬とごちそう
- アナと雪の女王/エルサのサプライズ
- さいごに
ジョン・ヘンリー
南北戦争後に解放された元奴隷で、労働者の英雄の物語。
わたしはジョン・ヘンリーのことを全く知らなかったが、きっとアメリカでは有名な英雄でいろんなところで取り上げられているんだろうなあと思ってみていた。
さっきちょっとググってみたらちゃんとWikipediaのページもあるような有名人だった。
きっとアメリカ人にとってジョンヘンリーはとても馴染みのある人物で、この物語を見たときに思うことも変わるんだろうなと思う。
日本人でもわかりやすいように例えると誰だろうか。
鼠小僧とかかなあ。でも彼はヒーローではないしなあ。
ヤマトタケルノミコトかな?でも彼は庶民じゃないしなあ。
文化が違うとなかなか難しい。
そんなアメリカの英雄の物語を、ディズニーらしいミュージカルにのせたこの作品は1999年に制作されたそうだ。
20年近く前の作品だが、かなり最近の作品の潮流となっているような雰囲気を感じた。
音楽の使い方や話のノリなどに、どこかプリンセスと魔法のキス(2009)らしさを感じられた。
また、手芸っぽいシーン(見たことある人に伝われ)が、モアナのマウイのタトゥーの表現に近いものを感じた。
ディズニーの短編は、それだけで注目を浴びることはかなり少ないけれども、実験台的な側面を持っているのか、のちの作品に影響を与えていると思う。
それを今回の12作品の中で一番強く感じたのが、最初に登場したこの作品だった。
ロレンゾ
呪いを受けた猫の物語。
セリフは一切ないうえ、ストーリーはかなりホラー的な部分があり、アニメーションそのものも絵のはずなのに抽象的な印象を受ける不思議な雰囲気をもつ、大人向きの作品。
2004年度制作と比較的最近の作品だけれども、色のタッチがメアリーブラウンさんのあの世界っぽい。
キレイなんだけどどこかちょっと不気味さもあるあの感じ。
あとどこかわんわん物語の色のタッチっぽさもある。
黒い色の使い方が効いてるんだろうなあ。
そして何と言ってもタンゴが最高。
セリフの代わり、というよりもセリフ以上の伝える力を持っている。
他の曲は考えられないくらいぴったり。
マッチ売りの少女
誰でも知っているあの物語のまま進んでいくから、全くストーリーに意外性とかはないのだけれども、どこか耽美な独特な世界観を感じた。
マッチの炎以外、明るい色がほとんど出てこないので、マッチのシーンが引き立つんだなあ。
ボロディンの弦楽四重奏曲第2番ニ長調の第3楽章がなんともいえない世界を広げてくれている、そんな作品。
「音楽がセリフよりも語る」作品を2連続で魅せてくるのが、この円盤のニクいところ。
グーフィーのホームシアター
2007年制作らしい。もっと前な気がしていた。
もうどこまでもグーフィーがグーフィーで愛しい。
あの誇大なアニメ的表現も、小さい頃から慣れ親しきたミッキーやその仲間たちのアニメーションそのもの。愛しさが止まらない。
頭を空っぽにして笑えるのが最高。
ミッキーをはじめとする仲間たちは全く出てこないんだけど、逆にグーフィーひとりでここまでストーリーが作り上げられるなんて…。
いままでの3作品は音楽がその作品の魅力を大幅に引き上げていた作品だった。
しかしこのグーフィーのホームシアターからはかなりキャラクターの魅力がその作品の魅力に直結している作品が続く。
この円盤に登場する短編たちは、それぞれ製作時期もばらばらで監督もばらばらな独立した作品のはずだ。
でもショート・フィルム・コレクションにするにあたって、順番がよく練られていてズルい。
ダークなロレンゾ、重いストーリーのマッチ売りの少女ときて、次がグーフィーの短編なんて反則だよ。。。
小さな時計
町中の時計屋さんで、人がいなくなると動き出す、という製作陣のイマジネーションが光る作品。
トイ・ストーリーもそうだけど、私たちが知らないうちに動いている、というのは夢があってみんな大好きだよね。私も好き。
そして、動く時計たちが実写版美女と野獣のコグスワースのようなチャーミングさがあって素敵。
というかやっぱり時計って顔に見えるよね。なんでだろう。
東西を問わず思うことはみんな同じみたい。
ウェイン&ラニー クリスマスを守れ!/秘密の指令
舞台がサンタさんというわくわくいっぱい、妖精さんのチャーミングさ、ととにかく夢いっぱいな感じ。
なによりも表情が生き生きしていて、そこが魅力的なんだよなあ。
あと、作りはめちゃめちゃ細かくて丁寧だけど、どこかディズニーチャンネルで放送されるような雰囲気も感じた。
ネッシーのなみだ
2011年に『くまのプーさん』と同時上映された作品。
(わたしは2011年公開のくまのプーさんを見ていないので初めて見た。)
くまのプーさんのように、ナレーションで進んでいく、まるで読み聞かせのような温かさが素敵だ。
ネッシーがかわいい女の子で、表情が生き生きしていてとてもかわいいし、めちゃめちゃ愛しくなる。
涙をこらえる顔がなあ、たまらんよなあ。
作品が流れる前に、製作者たちが「ディズニー史上最も制作期間が長かった作品」(=アニメーターのひとりが小さいころに描いていたキャラクターってことかな?)というだけあって、制作陣の思い入れというか、あたたかさを感じる作品だ。
オチというか結末はタイトルで途中でなんとなくわかってしまうのだけれどもね!
そこはご愛嬌ということで。
ラプンツェルのウェディング
タイトルの通りラプンツェルとユージーンの結婚式を描いた作品だ。
…といいたいところだが、ほぼパスカルとマキシマスのずったんばったんである。
パスカルとマキシマスはしゃべらないし、表情もヒトより制限があるはずなのに、生き生きしてて、頭空っぽにして笑える。
本編はどうしても主人公(ラプンツェル)とヒロイン(ユージーンはヒーローというより広いんだと思う)メインになっちゃうので、続編の短編でサブキャラぐいぐい出してくれるのはとっても嬉しい。
特にディズニー映画は脇役もいいキャラクターしてるので…!
あとやっぱりブルネット×ショートカットのラプンツェルかわいいよね…。
パークで会う時とかグッズとかはどうしてもブロンディーちゃんのほうばっかりだけど、こっちもいっぱい供給が欲しい。
紙ひこうき
2012年に『シュガー・ラッシュ』と同時上映された作品。またアカデミー賞も受賞した。
シュガーラッシュは映画館で見てないので初見だったけど、めっちゃ人気あるので名前ぐらいは聞いたことがあったのでとても期待していた。
そして期待を裏切らなかった!
まず、ストーリーに愛おしさを感じるというか、なんというんだろうきゅううっとくるどこか甘酸っぱさがたまらない。
セリフはないんだけれども表情が生き生きしていてるのが素敵。
メインの女性が本当にチャーミングなんだわ。
そしてさらに基本モノクロなんだけど、口紅だけ色がついているのが、どこか上品な色っぽさがあって印象的。
セリフがなくて、すごく詩的で美しい。
ここ最近の短編でいちばん集中してみたかもしれない。
ミッキーのミニー救出大作戦
2013年に『アナと雪の女王』と同時上映された。
アナと雪の女王を見に行った時に見たことをよく覚えている。
オズワルドがちらっと登場したり、ミッキーの声がウォルトさんの残っていた声を抽出して使ったものだったりと、過去リスペクトがあふれた作品。
初期のミッキー作品らしさを感じるポイントはたくさんあると思うんだけど、私が特に感じたのはミニーちゃんがパンツをパラシュートにして降りるシーン
プレーンクレイジーを思い出す。
かといって過去がそのままなのかというと、そうではない。
スマホが登場したり3Dがめちゃめちゃ生かされていて2010年代のディズニーだからこそ作れた作品だと思う。
愛犬とごちそう
2014年に『ベイマックス』と同時上映でアカデミー賞(R)受賞した作品だそうだ。
犬目線だが、物語の主役はその飼い主である。
犬目線だからセリフはほとんどないし、飼い主やその恋人はほぼ足しか映らない。
それでも飼い主の物語がきちんと伝わる、というのが本当にすごいとしか言えない。
この記事書くためにちょっとレビューとかにも目を通したのだけど、犬に人と同じジャンクフードを食べされるなんて!みたいなのがいっぱい出てきた。
*1
うーん、なんかそれは野暮な指摘だな…感が否めない。
人の半生をごはん、という側面から切り取った、そんな名作だと思う。
ごはんって生きる上で欠かせない大事な要素だ。
それにごはんがおいしそうな映画は名作が多い。(ジブリとか全部ご飯がおいしそう)
でもごはんは動かないし表情がないのでそこで登場したのが犬なのでは?
犬を利用してるみたいで嫌、と言われればそれまでだけれども。
アナと雪の女王/エルサのサプライズ
2015年に『シンデレラ』と同時上映された作品で、これも実際に私も映画館で観た作品である。
なんといってもこの作品の魅力は、エルサとアナのいちゃいちゃっぷり!
本編では離れてた距離がなくなってからが短いので、こうして続編でガンガンいちゃいちゃしてくれるの、ほんと尊い。
エルサがアナを喜ばせようとしすぎて、空回りしちゃうところとか、不器用通かわいいかよ、って気持ちが止まらない。
そして短いながら姉妹二人だけでなく、クリストフやオラフ、オーケンそしてハンス王子といった、ほかの登場人物もきちんと出してくるあたりが推せる。
家族の思い出のほうは、クリストフの扱いが雑すぎたところだけはちょっといただけなかった。
それに新キャラ(というべきかはわからないけど)のスノーギースたちが勢いもあってかわいい。
2015年にこの短編が公開されて、2016年の1月にはTDLに登場したそのスピード感もすごかったなあ。
ぬいばもついついいっぱい買ってしまった。
これ家に作りたかったぐらいには好き
おまけ!
家族の思い出を映画館で見たときの感想記事はこちら
さいごに
今まで書いてきたように、個々の作品が素晴らしかった。
そしてそれだけでなく、流れや順番、そして製作陣の登場するつなぎも素敵なコレクションだった。
ディズニー映画が好きな人で、まだ見てない人は是非是非お勧めしたい1枚。
*1:すくなくとも、「こどもが勘違いして犬に人の食べ物を食べさせたら!」ってそんな勘違いするような子供は一人で観に行かないんだからちゃんと親御さんが一言いえば済むでしょうよ