読書するという習慣は、もともとはなかった。
けれども簡単に読書記録をつけてみると、やっぱり活字のことは好き(SNS中毒なだけに)で、いい出会いもある。
去年の12月から今月まで、仕事や趣味の合間に、少しずつ本を読んだ。
内容を完璧に覚えているわけではないけれど、「読んだ」という事実だけは、少しずつだけどちゃんと溜まっている。
今回は、そんな最近読んだ本をまとめて並べてみる。
ジャンルはビジネス書多めではあるけれど、意外とばらつきもあるかも。
すべてはモテるためである
タイトルのとおり、中身も「モテるためには?」の本で、AV監督が書いた本なの。
にもかかわらず上野千鶴子氏の推薦文がついていたり、哲学者の國分功一郎氏との対談が載っていたりと、ふしぎな立ち位置にいる一冊だ。
男性がモテるためにどうするのかを書いた本であるにもかかわらず、実際には女性に勧められることも多い。
テクニックの本ではなく、「キモチワルイ」からどう脱却するか?の本である。
途中で「商売女を使え」というくだりは個人的には気に食わなかったが、大筋としては「自分と向き合い、相手の女の子と向き合え」という話だ。
恋愛相手は記号ではなく個人で、個人には個人の心がある。
だからこそ、そこに向き合わなければならない。
そして相手に向き合うためには、まず自分の心の穴の形を理解していないといけない。
これは恋愛に限らず、個人の枠を超えてチームで何かを成功させるための原則であり、人間の真理でもある。
「恋愛で成功する」という枠で考えても、結局は「成功する人間の真理」にかすっていく。そのバランス感覚が絶妙だなと思わせる一冊だった。
ピグマリオン
2021年に『マイ・フェア・レディ』を観てから、長らく積んでいたが、やっと読んだ。
小説ではなく戯曲という形式に慣れていなかったのか、買った当初は序盤だけ読んでそのまま積んでしまっていた。
今あらためて読んでみたら、わりとするする読めた。
舞台版は原作となった「ピグマリオン」のセリフなどを残しつつ、最後はヒギンズの元に戻るように改変していると聞いたことがあるので、どうしてもちぐはぐ感が残ってしまっているのかな。 「ピグマリオン」は買ってみたので今度読んでみようと思ってる。
4年たちました。笑
『マイ・フェア・レディ』で感じたもやもやは、こちらではきれいに解消されていた。
やはり、『マイ・フェア・レディ』における改変部分が、無理やりすぎるのだ。
(これについてはネタバレばりばりで、改めてどこかで語りたい)
後日譚では、「イライザがヒギンズと結婚することはあり得ない」とねちっこく語られる。
フレディとの結婚生活についてはやたら冷めた視線なのだが、それでもヒギンズとのロマンスよりは地に足がついていて、前向きな物語として描かれているのが可笑しい。
い。
コーチングの神様が教える「できる人」の法則
以前、サリー・ヘルゲセン,マーシャル・ゴールドスミスの「コーチングの神様が教える「できる女」の法則」という本を読んだ。
そして、エグゼクティブのコーチングの第一人者であるマーシャル・ゴールドスミスが、できる人の悪癖について書いた本が「コーチングの神様が教える「できる人」の法則」だ。
20+1の悪癖は、誰もが持っているというか、エグゼクティブな人にとっては、むしろそこが原動力になってきた面もあるのでは、という気がする。
結局は立場と程度によるので、「ふーん」という感想ではある。
その後の改善策も、『人を動かす』をはじめとした古典的名著で繰り返し語られてきた内容と、大きくは離れていない。
ただ、最後の「部下やスタッフの扱い方」の章は、個人的に学びがあったというか、考え方が腑に落ちて、読後感はよかった。
コーチングの神様が教える「できる人」の法則
Goldsmith,Marshall,1949- Reiter,Mark 斎藤,聖美,1950-
嫌われる勇気
ベストセラーになった、アドラー心理学の解説書。
『人を動かす』のD・カーネギーはアドラーを偉大な心理学者と称した。
また、S・コヴィーの『7つの習慣』にも影響を与えていると言われている。
実際に読んでみて『7つの習慣』の「主体的であれ」というメッセージに近しいと思った。
世間では「目から鱗」「人生が変わった」という感想も多いけれど、正直に言うとそこまで新しい考え方ではなかった。まあこれは私が本書のヒット後の世界を生きているからなのかも。
「自分の人生の責任は自分で引き受ける」「他人の評価に自分を委ねない」といった、ごく基本的な話を、より体系的に整理している印象だ。
私の雑な言葉で言うと、「自分のケツは自分で拭け」だし、「私の命ゆだねるそれは私だけに(某ザベート)」でもある。
それでもこの本がここまで読まれたのは、構成がうまいからだと思う。
アドラー心理学に詳しい賢者と、何も知らない青年の対話形式で進み、この青年がいちいちド派手に驚く。
「そこ、そんなに驚く?」と思いつつも、読者がつまずきやすいポイントを毎回きちんと拾ってくれる。
内容自体は目新しくなくても、「分かったつもり」を一つずつ言語化してくれるから、理解しやすい。
新しい価値観を与えてくれる本というより、「自分の人生を引き受けられていますか?」と静かに問い直してくる一冊だった。
これが”ビジネス書"のランキング常連なのがなかなか興味深い。
マリー・アントワネット
ツヴァイクの傑作伝記小説
池田理代子さんが『ベルサイユのばら』を書くきっかけにもなった本ということで、いつか読みたいと思っていた。
マリー・アントワネットほど死後に空想や妄想を含むいろんなことを言われた方もそう多くないであろう。
そんな彼女をあらゆる情報を取捨選択しながら、1本筋の通った人物として描き切ったことにあっぱれ。
ツヴァイクと訳者の中野京子氏による流れるような文章が、ひとりの女性の一代記を鮮やかに紡ぐ。
若い頃の彼女(特に子供が生まれる前)は確かに軽薄で享楽的な甘ったれだ。
しかし、革命以降の変化と成長、思考の深化は目を見張るものがある。
「マリア・テレジアの皇女」であり「フランス王妃」という立場が脅かされていくにつれて、反対にふさわしい重さを身につけていくさまに、後世の読者までも畏怖を感じる。
出来事を追いたい人や群像劇を期待する人には向かないが、ミュージカルが好きな人には強く刺さる一冊だとおもう。
だってミュージカルファンなら主人公の生きざまを濃密に味わうの好きでしょ?
考える技術・書く技術 : 問題解決力を伸ばすピラミッド原則
原題はThe Minto Pyramid Principle: Logic in Writing, Thinking, & Problem Solving
日本語タイトルでは前後がひっくり返り、さらに Problem Solving が消えているが、原題のほうが中身を正確に表していると思う。
これは「ミントのピラミッド原則」であり、ロジカルに書き、考え、問題を解決するための原則を示した本だ。
いかにも翻訳本、という日本語の硬さはかなりある。
ただ、英語のパラグラフライティングや論理的文章術の本にありがちな「日本語では使いづらい感じ」はない。
書く技術も考える技術も、日本語の文章でも十分に生かせる内容だ。
特に良いのは、Before / After の例文が非常にわかりやすいところ。
同じ内容でも、構造を整理するだけでここまで分かりやすくなるのか、というのが一目で分かる。
「筋道が立っている文章」というものが、感覚ではなく例として示されている。
一方で、正直に言うと、通読しただけで自分の血肉になった感じはあまりしない。
読んで「なるほど」と思うことと、実際に書ける・考えられるようになることの間には、やはり距離がある。
また、これがそのまま「論理的な思考」かと言われると、少し違うとも感じる。
論理そのものというより、論理を伝えるための型、あるいは整理の技法に近い。
だからこそ、この本は一度読んで終わりではなく、訓練用の道具として付き合う本なのだと思う。
ちゃんと身につけられたら、確実に武器になるタイプの一冊だ。
読み返すか、類似本を読み漁るかは悩む。
考える技術・書く技術 : 問題解決力を伸ばすピラミッド原則
Barbara Minto [著], 山崎,康司 [訳], グロービス・マネジメント・インスティテュート[監修]
さいごに
そこまで肩ひじ張って読んでいるわけではないけれど、名著と呼ばれる本は、名著になるだけの理由がちゃんとあるなと、今回も感じた。
たぶんまた忘れるし、また溜まったら、同じようにまとめていく。
そのくらいの距離感で、これからも読書記録は続けていく予定。
前回の読書記録はこちらです。






